2016年12月12日月曜日

(3) インドネシア語留学の詳細

ア.パジャジャラン大学(UNPAD)のBIPA詳細

バンドゥン(バンドン)にあるパジャジャラン大学(UNPAD、「ウンパッド」と読む)とは、インドネシアの代表的な国立大学の1つです。
バンドゥン工科大学、インドネシア教育大学、インドネシア大学、ガジャマダ大学、ボゴール農科大学などと並ぶ著名国立大学です。

特に、語学教育では、インドネシアトップレベルと言われています。日本語学科には400人ほど(2016年度)の優秀な学生が学んでおり、卒業生の多くが日系企業や、日本の機関で働きます。

例えば、ジャカルタにある国際交流基金(Japan Foundation)や日本大使館などを訪れると、パジャジャラン大学の卒業生が多く働いています。また、教員も非常に著名な方が多く、日本の文部科学省から命を受けて、村上春樹や吉川英治といった日本を代表する作家の小説を翻訳する方もおります。

一昔前は、インドネシア語留学というと、パジャジャラン大学ぐらいしか選択肢がなかったように、歴史ある素晴らしい大学が、このパジャジャラン大学です。
日本語教育に関しても同様で、インドネシアの大学で初めて日本語の高等教育が始まったのは1963年で、このパジャジャラン大学からなのです。



そのパジャジャラン大学のBIPAの詳細な情報を次項に記載します。

(ア)年間スケジュール

年間2つのセメスター(学期)で授業が行われます。


1つのセメスターの中には、中間試験、期末試験、他に課外実習があります。課外実習ではバンドゥン周辺の観光地、博物館、工場、工房へも行きます。

1年間留学をする場合、セメスターの間のお休みは、2か月間ありますので、授業期間中、時間の問題でなかなか行けないような場所や、活動に取り組むことができます。

留学後に就職を考えている学生は、ジャカルタ、ブカシ、チカラン、カラワン、東ジャワのスラバヤなどで現地採用の仕事を探す時間もありますし、学んだインドネシア語を駆使してインドネシアの他の都市、他の島などを巡りながら肌でインドネシアと触れ合う事も可能です。あるいは、バンドゥンにいながら英語のコースに通うなどして、さらなる自己研鑽に努めることもできます。




(イ)クラスとタイムスケジュール

パジャジャラン大学では、セメスターごとにクラス分け(プレースメント)テストを行い4つのクラスに分かれて授業が行われます。2016年を例にクラス毎の内容を記載します。


パジャジャラン大学では、クラスは初級(クラス1)、初中級(クラス2)、中級(クラス3)、上級(クラス4)の全部で4つあります。クラスによって科目は異なりますが、上級のクラスへ行くと、文法、語彙の活用、会話、リスニング、読解といった基礎科目だけではなく、長文作文、ディスカッション、話し言葉、若者の言葉、論文執筆、スラングといったように、様々な切り口からインドネシア語を学ぶことができます。もちろん、インドネシア語の教材の中では、インドネシアの歴史や文化、料理、あるいは社会問題といったものを主として扱いますので、よりインドネシアのことを深く知ることも可能です。



ウ)キャンパス

パジャジャラン大学のキャンパスは2つに分かれていて、市街地と郊外に1つずつあります。BIPAはバンドゥン中心部にあるディパティウクール(Dipati Ukur)キャンパスにあり、ここには、経済学部や法学部もあります。一方、中心部から20kmほど離れた郊外にあるジャティナゴール(Jatinangor)キャンパスは、メインキャンパスで、こちらに日本語学科もあります。

ジャティナゴールキャンパスまでは、ディパティウクールより、ダムリ(DAMRI)社のバスが運行されており、渋滞にもよりますが、1時間から2時間の間で到着するのが目安です。運賃は2016年現在、片道7,000ルピアです。

バスの他に、シャトルバス(Travel)がGeulis社よりDipati UkurJatinangor間で運行されています。



(エ)パジャジャラン大学(BIPA)の授業料、その他手続き料

1年間学ぶ場合は、総額25,750,000ルピア(20169月現在)、オプションが総額500,000ルピアです。その内訳は以下の通りです。

10,000,000ルピア:1セメスターあたりの授業料(20169月現在)
 1年間:10,000,000ルピア×2セメスター = 20,000,000ルピア
250,000ルピア:パジャジャラン大学への事務手続き料(20169月現在)
5,500,000ルピア:KITAS関係の手続き料(20169月現在)
 オプションにより、次の金額も必要となる場合があります。
250,000ルピア:住民登録、証明書発行サポート(20169月現在)
250,000ルピア:Kost(コス)の紹介、物件の内見サポート(20169月現在)

<補足説明>

【授業料】
授業料には、授業で使う教材の代金(教科書、プリント)も含まれています。

KITAS関係の手続き料】
いわゆるKITASと呼ばれている留学VISAの取得のために、大学のKITAS関係の手続き料が必要です。

【住民登録、証明書発行サポート】
KITASの手続きにあたり、2016年現在、居住する村町の住民登録証明書(「Surat Domisili」)が必要となっています。こちらの住民登録、証明書発行についてもオプションにてパジャジャラン大学がサポートしています。
※初回住民登録後、引越しなどで住所が変わる場合の証明書の取得には大学へご相談ください

Kost(コス)の紹介、物件の内見サポート】
住民登録のためには、住居が確定していなければなりませんが、バンドゥンへ渡航後、家を探す場合には、大学職員が、Kost(コス)と呼ばれる下宿の紹介と物件を見に一緒に回ってくれるサポートもあります。

費用は年やセメスターによって変わる可能性がありますので、留学の際には別途大学へご確認をお願いします。



とても頼りがいのある職員の方が対応してくれます。

イ.留学体験情報

実際に現地の留学生活をおくった人の情報を読めば、更なるバンドゥンでの留学イメージが沸くと思いますので、2016年(現在留学中)の留学情報を、ご紹介します。

(ア)2016年の現在留学中の学生による情報(30代男性)

Q1.授業は何セメスター受けましたか?
A120168月から1セメスター目です。

Q2.どのクラスを受けましたか?
A2.クラス1(初級)を受けています。

Q3.留学前のインドネシア語のレベルは?
A32014年頃、東京の語学学校に、週1回(90分)半年通っていました。

Q4.クラスの印象はどうですか?
A4.授業は基本的にインドネシア語で行われますので、インドネシア語を聞くことに慣れるまで大変ですが、頑張った分だけ伸びていくのが日々の生活で体感できます。先生によって、教科書にきっちり沿って授業をしたり、独自のプリントを使ったり、会話を多めにしたりなどの授業内容が様々です。受け身で授業を受けるのではなく、積極的に覚えたインドネシア語を使って質問を行うことや、先生と会話することが重要かなと思います。

Q5.毎日の授業雰囲気はどうですか?
A5.クラスメイトは当初の日本人、中国人、アメリカ人に加え、9月初旬からダルマシスワ(Darmasiswa)奨学金制度で留学した、韓国人、マダガスカル人のクラスメイトが増えました。ただ、クラス人数の増加に伴い、直ぐにクラス12つに分かれ、9月から受講する学生は、別クラスになってしまいましたのが残念です。
授業中は、分からないことは直ぐに質問する生徒も多く、先生も質問した生徒には近くに行き教えてくれますので、それを聞いている周りの人の底上げにもなっているのではないかと思っています。

Q6.授業外での生活はどうですか?
A6.学校付近はカフェや飲食店も多く、それらの店を学校近辺から徐々に遠方に開拓していくのは楽しいですね。通学もAngkot(アンコット)と呼ばれる乗り物を利用していますが、乗り降りの仕方や料金相場を覚え、渋滞時の対応などもできるようになりました。食料品を売っているスーパーも多いので、野菜を買ってきて自炊するのも楽しみの1つです。外食だけでは栄養が偏る気がしますので、料理も気分転換になります。

Q7.バンドゥン生活全般について一言お願いします
A7.ショッピングモールに行っても若い人が多く、流行っているものは何だろうと気になってしまいます。日本に関するイベントも頻繁にあり、とても楽しいです。
食料品や衣類(とても安く買えます)など日本と変わらず買えるものも多いですので、バンドゥンにいて殆ど物には困りません。
また、街中は車やバイクが多いのですが、木々も沢山あり、晴れた日は散歩すると良い景色に巡り合えます。暑くなったらカフェに逃げ込みます。
時に大雨が降りますが、お店に入り、ゆっくりと止むのを待つというのも良いものかなと思います。近隣にも足を延ばして、地元チームのサッカー観戦や、温泉に行くなど、堪能したいことが尽きない街ですね。

(1) インドネシア語留学について

インドネシア語留学、つまり外国人として、インドネシアでインドネシア語の学習を目的として留学をする場合、そのカリキュラムを提供している大学は複数ありますが、通常、日本人を始めとする外国人が留学する大学として、著名なところは、次のような大学があります。


ア.インドネシア語を学ぶために ---BIPAについて---

BIPAとは、「Bahasa Indonesia untuk Penutur Asing」の略で、大学が提供する外国人向けにインドネシア語を教えるプログラムです。インドネシア語を学ぶ場合、多くの外国人は、このBIPAを受講します。

BIPAの詳細なカリキュラムの例は、こちらにて、パジャジャラン大学を例に説明をします。

このBIPAは、例えば次のようなケースの様々な留学生がいるプログラムです。

・各国の大学生が交換留学としてインドネシア語を学ぶケース、
・政府奨学金による留学生がインドネシア語を学ぶケース、
・企業や政府機関の研修でインドネシア語を学ぶケース
・個人留学でインドネシア語を学ぶケース

そのため、教室のクラスメイトは様々な国の人がおり、交流を深めながら共にインドネシア語を学ぶことができます。良い大学になれば、そこで学習する学生の質も高まり、かけがえのない交友関係を築くこともできます。

授業は、主に「インドネシア語」で行われ、初級クラスでは、場合よって「英語」を交えて行われます。また、入学時に、多くの大学で初級から上級まで生徒の実力に合わせてクラス分けが行われます。

授業のカリキュラムや、クラスの詳細な設定(クラス数や1クラスあたりの人数など)は、大学によって異なります。

各大学のWebサイトは以下の通りです。

・インドネシア大学 http://www.ui.ac.id/
・パジャジャラン大学 http://www.unpad.ac.id/
・インドネシア教育大学 http://www.upi.edu/
・ガジャマダ大学 https://www.ugm.ac.id/
・ウダヤナ大学 https://www.unud.ac.id/

上記の大学の中から、どの大学にするのかは、あらかじめ提携先(留学先)が決まっている場合を除き、ご自身での選択次第ですが、授業の内容の他にも、次のような選択のポイントがあげられます。

【大学選択のポイント】

空き時間を過ごす街の環境

授業は、朝から夕方まで一日中行わないことが殆どであるため、授業時間以外の空き時間は、休日も含め多くなります。その時間を過ごす街の環境は、良くも悪くも留学生活に大きく作用します。
     
インドネシア語を使う環境
  
現在、インドネシア語を学びにくる人は、中国、韓国、日本といった東アジアの国に加え、欧米、東南アジア各国、中央アジア、オーストラリア、アフリカなど多くの国の出身者がいます。これらのクラスメイトとのクラスでの会話、先生や大学職員との会話、現地の学生やお店の人の会話、その他に留学先の日本語学科の大学生など、授業で学ぶインドネシア語を使い会話をする機会が多ければ、上達の近道になります。